海外8言語15サイト制作可能な「Cafe24」で越境EC横展開を 国際物流のプロ・正代代表に聞く

初期費用・運用費用ゼロ円のECプラットフォーム「Cafe24」。 越境ECの壁になっている国際物流のサポートもある。同社の代表取締役社長である正代誠さんは、元佐川急便で「国際物流」の事業に携わっていた経歴を持つ。「お客(事業者)様と共に成長する」という想いを第一に掲げる正代社長に、「Cafe24」が選ばれる理由について語ってもらった。

EC-zine(2020/1/19)より

アパレル・コスメの越境EC横展開に選ばれる「Cafe24」

CAFE24 JAPAN株式会社 代表取締役社長 正代誠さん

――費用的面以外ではどのようなところが評価されていますか?

正代 Cafe24を選んだ理由として、テンプレートデザインのクオリティの高さを挙げられるお客様が多いです。130種類以上の無料のデザイン、有料のデザインを用意しています。アパレルや化粧品を扱うお客(事業者)様は、イメージを大切にされ、サイトデザインを非常に重要視しています。

 また、写真をランダムに置いていくと、その写真をAIが傾向に合わせて並べ替えてくれるという機能もあります。無料の自動翻訳サービスも機能としてご用意していますから、翻訳の心配も不要です。

 さらに、Facebookとデータ連携し、自社サイトの管理画面でFacebook、Instagram上に表示される商品を容易に管理する機能を提供しています。 Cafe24で構築した自社サイトに商品を登録すると、FacebookとInstagramに商品画像や詳細情報がリアルタイムで表示されるよう設定することができます。商品情報の修正や削除も、別途作業せずにすぐに反映されます。

無料のデザインテンプレート例
有料のデザインテンプレート例

――利用するEC事業者はどのようなジャンルが多いですか?

正代 やはりアパレル、コスメ系が非常に多いのが現状です。最近、増加傾向のあるのは、中国向けの越境ECで成功しているお客(事業者)様が、横展開の際にまたフルスクラッチでサイトを制作するには経費が掛かり過ぎるから、Cafe24をご利用いただくというパターンです。Cafe24は、ひとつアカウントを作ってしまえば、海外8言語15サイトを作ることができます。「越境ECにチャレンジしてみよう」と思ったら、テストマーケティング的にご利用いただくのも良いのではないでしょうか。

 当初は、海外展開しているお客(事業者)様に「海外サイトをCafe24に乗り換えませんか?」とのご提案をしていたのですが、今では「今ある海外サイトに加え、プラスワンとしてCafe24を利用しませんか?」とご提案することが多いです。海外用のサイトを作る場合でも、初期費用・運用費用は無料なのは同様です。

海外物流のプロが代表に 前職のネットワークが強みに

――そもそも正代社長は、なぜCafe24 Japanに携わることになったのですか?

正代 私は元々福岡の佐川急便出身で、事務畑として入社しました。営業開発部門で、トラックに乗らない新規開発やITの担当をしていました。その後、東京に移動して物流ITやECテクノロジーを担当、2000年あたりでインターネットが成長し始めた頃でした。その頃、物流とECモールと在庫管理の仕組みをつなぎ合わせたシステムを提供することを始めたんです。

 もう20年も前の話になります。問屋物流が盛んでしたが、次に盛り上がり始めたのは、カタログ通販などの通販業者さんでした。「今後、カタログがインターネットに変わっていくんじゃないか」と思いましたね。

 国際物流の担当になった際に、Cafe24 Japanと佐川急便グループのSGHグローバル・ジャパンでパートナーシップを組ませていただきました。その後私は退任したのですが、このパートナーシップがきっかけで、Cafe24から声がかかり、代表を務めることになりました。「お客(事業者)様とともに成長する」というコンセプトに惹かれたからです。物流ビジネスはお客(事業者)様が繁盛した時に自分たちも成長できるというビジネスモデルですから、非常に共感を覚えました。「日本の越境ECの拡大に携わりたい」という私の想いがマッチしたのです。

 2020年2月から代表になり、お客(事業者)様の生の声をおうかがいするようになり、国際物流が思った以上に高いハードルになっていることを実感しました。海外物流は、送付してはいけないものや成分についての知識も必要です。国によっては革製品、ナマモノ、食材、土、植物などは規制がかかっている場合もあります。Cafe24では、送付先で配送が止まってしまうことのないよう、商品を佐川急便の国際物流会社がチェックをしてから進めるように段取っています。専門の会社がサポートする必要があるとの考えからです。

 さらに、物流費を想定して価格設定をしていかないと、越境ECで売上が上がっても、利益が出なかったり、赤字になってしまう場合もあります。越境ECにおいて、物流費についても気にかけることは非常に重要なことなのです。

――越境ECでは「どうやって売るか」の話が多いですが、国際物流もキーポイントになってきますね。

正代 そのとおりです。日本の物流では物を丁寧に扱ってくれますが、海外ではそうはいかないことが多いです。海外のセールがニュースになることもありますが、物流の様子を映像で見ると驚くこともあると思います。お客(事業者)様には、「海外に送る際は、日本で売るときよりもしっかり梱包をしてください」とお願いしています。海外配送時に商品が破損する可能性があるためです。

 越境ECの場合、返品のやり取りをするだけで赤字になってしまいます。「こんなことになるなら、売らなければよかった」といった思いをしていただきたくないのです。越境ECは、こういった事情も含めてビジネスとしてお考えいただくようアドバイスさせていただいています。

afterコロナに向け、越境ECのテストマーケティングを

――最後に、今後のご展望をお聞かせください。

正代 「越境ECプラットフォーマーとして、3年後にはリーディングカンパニーになろう」という目標があります。実は、社名の前に「グローバルサクセスパートナー」という言葉が付いています。つまり業務としての仕事ではなく、「これをやったらお客(事業者)様がどう成長できるか」「どういうアドバイスをしたらお客(事業者)様が成功するか」を常に考えているのです。お客(事業者)様が成長すると私たちも成長できます。お客(事業者)様の成長なくして私たちの成長はありません。「お客(事業者)様と共に」という想いを常に心に刻み込んでいます。

 時々社員から、「このサービス有料にしましょう」と提案されるんです。会社のことを思っての発言なので、非常にありがたいのですけれど……。「目先の売上ではなく、お客(事業者)様のことを考えてやめておこう」という判断になります。この「顧客(お客様)第一主義」は、実は佐川急便の社是にあった言葉なのです。同じことを何度も言っているように思われるかもしれませんが、週に一度は社員に同じような話をしています(笑)。

 「今、withコロナだからこそ越境ECをやっておきましょう」とお客(事業者)様に強くお伝えしています。インバウンド客は来日できていませんが、海外には間違いなく潜在顧客がいます。単に越境ECで売上を上げるだけでなく、afterコロナになってから訪れてもらえるよう、自分のお店を知っていただくためでもあります。来店時に越境ECのクーポンを配るなどして、そこから越境ECの積極的な展開を始めてはいかがでしょうか。今、この時期は越境ECのテストマーケティングを行える大きなチャンスなのです!